第10回 支払条件(Payment Condition)と支払日(Due Date)

◆支払条件が支払いに大きく影響する
契約に基づいて商品やサービスが提供され、Invoiceが発行されると、あとは支払いを待つだけになります。
しかし、実際の取引では、ここから「いつ支払われるのか」という問題が発生します。
特にタイでは、支払条件(Payment Condition)について、会社ごとにさまざまな運用が行われています。
さらに、契約上の条件とは別に、実務上の思わぬ事情によって支払いが遅れるケースもあります。
そのため、取引を開始する前に、**「いつInvoiceを提出し、いつ締め、いつ支払われるのか」**を明確に確認しておくことが重要です。
◆支払いに関する用語
支払いに関しては、似たような言葉がいくつも使われるため、まずそれぞれの意味を整理しておきます。
① 支払期間(Payment Term)
Invoice発行後、実際に支払いを行うまでの期間です。
例えば「Payment Term 30 Days」であれば、一般的にはInvoice発行から30日後を基準として支払うことを意味します。
② 支払期限(Due Date)
実際に支払いを行うべき期限日です。
この期限を過ぎると、契約内容によっては遅延損害金などが発生する場合があります。
③ 支払日(Payment Day)
実際に支払いを実行する日です。
企業によっては「毎月25日」「翌月末」など、あらかじめ支払日が決められています。
④ 請求締日(Submit Day)
Invoiceなどの請求書類を相手先に提出する期限です。
日本でいう「締め日」に近い考え方です。
この期限を過ぎてInvoiceを提出すると、予定していた支払日に間に合わず、次回の支払日に回されることがあります。
◆「30日払い」だけでは分からない
例えば、
「Payment Term:30 Days」
という条件だけを見れば、Invoice発行から30日後に支払われると思うかもしれません。
しかし、実際には、
- Invoiceの発行日
- Invoiceの提出日
- Submit Day
- Due Date
- Payment Day
などがそれぞれ設定されている場合があります。
そのため、
「Invoiceをいつ発行するのか」
「いつまでに提出しなければならないのか」
「何日に締めるのか」
「実際の支払日はいつなのか」
を事前に確認しておかなければ、想定していた支払日と実際の入金日が大きくずれることがあります。
これは資金繰りにも直接影響します。
◆Voucherとの関係
支払条件の管理は、会計上のVoucherとも密接に関係しています。
売上側では、Invoiceの発行によって**Account Receivable Voucher(売掛金Voucher)**が発生します。
一方、購入側では、仕入やサービスの受領によって**Account Payable Voucher(買掛金Voucher)**が発生します。
その後、
売掛金 → 入金 → Receipt Voucher
あるいは、
買掛金 → 支払 → Payment Voucher
という流れになります。
したがって、Invoiceを発行した時点で、
「いつ回収できるのか」
をシステム上で把握できることが重要です。
取引件数が多くなると、担当者がExcelなどで一件ずつ支払予定日を計算するのは現実的ではありません。
Payment Term、Submit Day、Due Date、Payment Dayなどの条件から、支払予定日を自動計算できる仕組みが必要になります。
◆支払条件と実際の支払いは別問題
さらに、タイで事業を行う場合には、もう一つ注意すべきことがあります。
それは、契約上の支払条件と、実際の支払日が一致しないケースがあるということです。
会社間で正式に支払条件を取り決めていても、実際の支払いを担当する会計担当者の判断によって、支払いが遅れることがあります。
背景には、
「支払いを少しでも遅らせれば、その分だけ会社に資金が残る」
という考え方があるとも言われます。
しかし、これは取引先との契約を守るという観点からすれば、適切な考え方とは言えません。
支払いが遅れれば、取引先の資金繰りにも影響します。
また、一度でも支払い条件に対する信用を失えば、次回以降の取引条件が厳しくなったり、前払いを求められたりする可能性もあります。
◆システムだけでは解決できない問題
このような支払遅延は、システムを導入しただけで完全に防げるものではありません。
しかし、少なくとも、
- 契約上の支払条件
- Invoice発行日
- Invoice提出日
- Due Date
- Payment Day
- 実際の支払日
をシステム上で明確に管理し、予定日と実績を比較できるようにすることはできます。
例えば、Due Dateを過ぎても支払いが行われていなければ、未払一覧や遅延一覧として表示することができます。
Invoiceを送付した後、先方の担当者に連絡して支払予定日を確認することも、実務上有効な対応です。
◆支払条件を正しく理解する
支払条件は、契約書の片隅に書かれている単なる数字ではありません。
それは、企業のキャッシュフローと信用に直接関係する重要な取引条件です。
特にタイでは、Submit Day、Payment Term、Due Date、Payment Dayなど、複数の条件を組み合わせて運用されるケースがあります。
したがって、取引開始時に、
「いつ請求し、いつまでにInvoiceを提出し、いつ締められ、いつ支払われるのか」
を相手先と明確に確認しておくことが重要です。
そして、その条件を人の記憶やExcelだけに頼るのではなく、Account ReceivableやAccount Payableと結びつけて、システムで一貫して管理することが、正確な資金管理につながります。
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