第6回 在庫管理ポイントの重要性

◆生産指示発行ポイントと在庫把握ポイントを一致させる

生産管理において重要なのが、どこで在庫を把握するのかという問題です。

基本的には、在庫管理ポイントと生産指示発行ポイントが一致している必要があります。

在庫を正確に把握するためには、生産実績を漏れなく記録しなければなりません。

例えば、

  • 良品数・不良数
  • ロットNo.
  • 生産時間
  • 使用した資材・部品
  • 資材・部品の消費数量
  • 使用した資材・部品のロットNo.

などを、現場の端末から正確に入力していく必要があります。

これらの実績が正しく入力されなければ、システム上の在庫数量と実際の在庫数量が合わなくなります。

つまり、在庫管理の精度は、現場での実績入力の精度によって決まるのです。

これは在庫管理を行ううえで、最も基礎的であり、最も重要な作業です。

◆細かすぎる在庫管理ポイントは「運用倒れ」になる

ここで問題になるのが、在庫管理ポイントをどの程度の細かさで設定するかということです。

製造管理の立場からすると、品質向上や設備稼働率の向上などを考えるため、できるだけ細かく工程を管理したくなります。

しかし、在庫管理ポイントを細かく設定しすぎると、生産指示書の発行や実績入力の工数が急激に増加します。

例えば、一つの製品を製造するために多数の工程があり、それぞれを在庫管理ポイントとして設定すれば、工程ごとに実績を入力しなければなりません。

その結果、

「管理すること」そのものが目的になってしまい、現場の運用が追いつかなくなる

という問題が発生します。

これは、生産管理における在庫管理のメッシュと、製造現場が必要とする管理メッシュは、必ずしも同じではないということを意味しています。

さらに、入力回数が増えれば、それだけ入力ミスが発生する可能性も高くなります。

入力後のチェック作業も増え、結果として現場の負担が大きくなってしまいます。

◆在庫管理ポイントを設定する目安

では、どこを在庫管理ポイントにすればよいのでしょうか。

一つの目安として、次のような条件が考えられます。

  • 前後工程で使用する設備台数が異なる
  • 前後工程で勤務シフトが異なる
  • 組立工程である
  • 工程のリードタイムが長い

このような工程では、工程間でモノの流れを分けて管理する意味が大きくなります。

例えば、前工程と後工程で設備が異なれば、生産能力や稼働時間も異なります。

また、シフトが違えば、前工程で生産したものを後工程がすぐに使用できない場合もあります。

リードタイムが長い工程についても、工程途中の仕掛品を把握することが重要になります。

このように、どこを在庫管理ポイントとするかによって、在庫管理の効率と精度は大きく変わります。

管理ポイントが粗すぎれば在庫精度に問題が生じます。

一方で、工程ごとに細かく設定しすぎれば、入力やチェックの負担が増え、実際の運用が追いつかなくなります。

したがって重要なのは、細かく管理することではなく、実際に運用できる適切な管理メッシュを設定することです。

◆バーコードを導入すれば解決するわけではない

在庫管理を細かくする際に、よくある誤解があります。

それは、

「バーコードシステムを導入すれば、細かな在庫管理も問題なくできる」

という考え方です。

しかし、バーコードは在庫管理のメッシュそのものを解決するものではありません。

バーコードシステムの役割は、入力作業を簡略化し、入力ミスを減らすことにあります。

バーコードを読み取れば、人が数字を手入力する必要はなくなります。

しかし、それでも「いつ」「どこで」「何を」読み取るのかという作業そのものがなくなるわけではありません。

管理ポイントを細かく設定すれば、それだけ読み取り回数も増えます。

つまり、

バーコードは入力方法を改善するものであって、管理ポイントの設定そのものを改善するものではない

のです。

◆重要なのは「管理できる細かさ」を見極めること

在庫管理では、細かく管理すればするほど良いわけではありません。

重要なのは、

「何を管理する必要があるのか」
「どこで管理すれば十分なのか」
「現場が継続して入力できるのか」

を考えることです。

生産現場の管理メッシュと、生産管理システムの在庫管理メッシュを適切に設計する。

そして、その管理ポイントで確実に実績を収集する。

これが、正確な在庫管理を実現するための基本なのです。