第7回 在庫精度をいかに上げるか

◆適切な在庫管理ポイントと現品票

在庫精度を高めるためには、まず、適切な在庫管理ポイントが設定され、現場で無理なく運用できることが大前提となります。

第6回で述べたように、管理ポイントを細かくしすぎても、現場の入力やチェックが追いつかなくなります。

そのうえで、在庫として管理するすべての現品について、現品票による管理を徹底する必要があります。

現品とは、原材料、部品、中間仕掛品、完成品など、実際に工場内に存在するすべてのものを指します。

現品票は、その現品について、

  • 何の品目なのか
  • いつ作られたのか、または購入されたのか
  • どこで作られたのか
  • 現在どこにあるのか
  • どれだけの数量があるのか

といった情報を管理するためのものです。

品目コードやロットNo.などを使って現品とシステム上のデータを結び付け、**「何が、どこに、いくつあるのか」**を正確に把握するために欠かせません。

現品票による管理が十分に機能していなければ、棚卸で確認した実在庫とシステム上の在庫との間に差異が生じます。

そうなれば、どれだけ立派な在庫管理システムを導入しても、正しい在庫管理を行うことはできません。

また、現品の置場所を明確にすることも重要です。

「どこに置いてあるのか分からない」

という状態は、在庫管理以前の問題です。

置場所を決め、現品とその情報を正しく結び付ける。

これが在庫精度を高めるための第一歩になります。

◆毎日の入出庫履歴を確認する

ここまでの管理がきちんと行われて、初めて日々の入力データを検証することに大きな意味が出てきます。

入力したデータは、できるだけその日のうちに確認することが重要です。

例えば、その日に発生した入出庫をリストとして出力し、

「実際に行われた入出庫と、システムに入力された内容が一致しているか」

を一つひとつ確認します。

間違いを翌日、翌月まで持ち越してしまうと、どこで何が起きたのか分からなくなります。

だからこそ、その日の間に確認し、その日の間に修正することが重要なのです。

さらに、人が後から自由にデータを書き換えられる状態では、正確な検証ができません。

誰が、いつ、どのような入出庫を行ったのか。

また、どのデータを修正したのか。

こうした履歴を残す仕組みが必要になります。

◆在庫差異が発生したときに「原因が分かる」こと

最終的な在庫の検証は、どうしても人の手による確認が必要になります。

バーコードシステムを導入すれば入力作業を効率化することはできますが、バーコードを導入したからといって、在庫の検証作業そのものがなくなるわけではありません。

バーコードは入力を効率化し、入力ミスを減らすための手段です。

実際の現品とシステム上の在庫が一致しているかを確認するという作業は、別途必要になります。

在庫検証に近道はありません。

最も困るのは、棚卸を行った結果、

「実際の在庫とシステム上の在庫が合わない。しかし、なぜ合わないのか分からない」

という状態になることです。

例えば、

  • 入庫の入力漏れなのか
  • 出庫の入力漏れなのか
  • 生産実績の入力ミスなのか
  • 不良処理が正しく行われていないのか
  • 別の場所へ移動しているのか
  • 数量を間違えて入力したのか

原因が分からなければ、差異を修正することすらできません。

だからこそ重要なのは、在庫差異が発生したときに、その原因を追跡できるシステムです。

◆「在庫が合わない」から「なぜ合わないのか」へ

在庫管理で本当に重要なのは、単にシステム上の在庫数量を合わせることではありません。

重要なのは、

「なぜ実在庫とシステム在庫が違うのか」

を明らかにできることです。

差異が発生したときに、入出庫履歴や生産実績、移動履歴などを追跡し、どの時点で差異が発生したのかを確認できる。

そうすれば、単に今回の差異を修正するだけではなく、同じ問題が再発することを防ぐことができます。

在庫精度を高めるために必要なのは、特別な方法ではありません。

適切な管理ポイントを設定する。
現品を正しく管理する。
毎日の入力を確認する。
履歴を残す。
そして、差異が発生したときに原因を追跡できるようにする。

この地道な積み重ねこそが、正確な在庫管理を実現するための基本なのです。