第16 回 まちがえない在庫管理システム選び

◆在庫管理システムにはさまざまな種類がある

皆さんは、在庫管理システムを導入するとき、何を基準にして選択されていますか。

「在庫管理システム」と一言で言っても、その機能や管理レベルには大きな違いがあります。

例えば、

在庫数と入出庫履歴をリアルタイムに把握する

①に加えて、在庫金額を管理する

②をロット別に管理する

②に加えて、子品目を自動的に引き落とす

④に加えて、税務署への提出義務があるStock Cardを印刷する

③に加えて、ロットトレースを行う

⑥をバーコード端末から入力する

⑥に加えて、バーコード端末から製造工数を入力し、実際原価を管理する

というように、要求する機能によってシステムのレベルは大きく変わってきます。

つまり、「在庫管理システム」という名称だけでは、そのシステムがどこまでの管理に対応できるのか判断できないということです。

◆在庫管理から実際原価管理まで

①から⑧までを順番に見ていくと、単なる在庫数量の管理から、次第に高度な生産管理へと領域が広がっていることが分かります。

①では、現在の在庫数量と入出庫履歴を把握します。

②では、数量だけではなく在庫金額まで管理します。

③ではロット単位で在庫を管理し、④では生産に伴って子品目を自動的に引き落とします。

⑤では、さらにタイの会計・税務上重要となるStock Cardに対応します。

⑥ではロットトレースまで可能となり、⑦ではバーコード端末によって現場からデータを入力します。

そして⑧では、製造現場から実際の製造工数を収集し、実際原価の管理へとつながります。

このように考えると、在庫管理システムは単に「在庫数を見るためのシステム」ではありません。

在庫 → 生産 → 原価 → 会計

という企業活動全体につながっているのです。

◆自社に必要な管理レベルを明確にする

重要なのは、最も高機能なシステムを選べばよいということではありません。

自社が、

  • 何を管理したいのか
  • どこまでの精度が必要なのか
  • ロット管理が必要なのか
  • 生産管理と連動するのか
  • 会計まで連動させるのか
  • バーコード入力が必要なのか
  • 実際原価まで管理するのか

を明確にすることが重要です。

例えば、単純な商品の入出庫だけを管理する企業に、実際原価まで管理する高度なシステムを導入しても、必要以上の投資になってしまいます。

逆に、製造業でロットトレースや実際原価まで必要としている企業に、単純な在庫数量だけを管理するシステムを導入しても、目的を達成することはできません。

◆Stock Cardには特に注意が必要

タイで在庫管理システムを選定する場合、**Stock Card(在庫台帳)**については特に確認する必要があります。

Stock Cardを印刷するためには、在庫システムが先入先出法、後入先出法、平均法などの在庫評価方法に対応している必要があります。

また、Invoice No.との紐付けも必要となります。

したがって、「Stock Cardが印刷できます」という説明だけで判断するのではなく、どのような在庫評価方法に対応しているのか、どのような履歴を保持できるのかまで確認する必要があります。