第2回 BOIに対応した会計について

◆タイ資委員会(BOI)の恩典と義務

タイで事業を展開するにあたり、タイ資委員会(BOI)との関わりは避けて通ることはできません。
工業省直轄の同委員会は1977年に設置され、投資申請の認可や恩典の付与など企業誘致の窓口役を担ってきました。
東京や大阪などにも事務所が置かれ、海外にいながらにして相談が受けられる仕組みとなっています。

投資申請が認可されると、通常でも5年間の法人税が免除、タイの国外販売時の輸入関税の免除、資本金200万バーツ・タイ人4人/1名の日本人の条件が免除されるなどの恩典を受けることができます。

ところが、恩典という得られる「利益」に合わせて、課される「義務」も増えてきます。
その最大のものが勘定科目のうち「BOI会計」と呼ばれるものと「NON-BOI会計」と呼ばれるものの区分です。BOIが認可した事業を通じて得られた収益や要した経費は、認可の対象ではないNON-BOI事業とは明確に分けて会計処理する必要があります。

それは例えば、工作機械などの設備類や電気代、水道代、給与、サーバー代といった必要経費や在庫などにも及びます。
でも、よく考えてみてください。
一つの同じ事業所内で行われている業務を一つずつ細分化して、「ここまではBOI、ここから先はNON-BOI」などと区分することは果たして可能であり現実的でしょうか。
このため、実務では一定の比率を乗じて区分する方法が採られているようですが、それもまちまちです。

◆BOIと結びつきの強い会計

会計市場では「BOI対応ソフトウエア」などと謳ったサービスが盛んに宣伝されていますが、運用上、クリアすべき課題は山積しています。
とても一朝一夕でできるものではありません。
会計作業は日々行われなければなりませんから、その負担も膨大です。対応ができなければ、罰金などのペナルティも課されます。
国の関与が極めて強いのがタイの会計であるという現実を直視して、専門のコンサルタントに相談するなどの次善の対策が必要です。