第4回 商社向けERPと製造業向けERPの違い

◆商社向けERPと製造業向けERPの比較

ERPシステムは、商社向けERPと製造業向けERPが存在します。よく聞く話では、製造業で商社向けERPを導入し在庫把握ができないという内容です。
ERPを導入する場合は、自社の業態にあわせたERPシステムを導入しないと結果的に目的とする管理はできません。
そこで、商社向けERPと製造業向けERPについて比較をしたいと思います。

・会計処理
会計処理事態について商社向けERPと製造業向けERPで大きく違いません。
違いは、商社向けERPでは製造品在庫の扱いが難しいです。

・在庫管理
商社向けERPでは中間仕掛品 (Work in Process)の管理が難しいです。
製造業向けERPでは、ロケーション別に、中間仕掛品 (Work in Process)を含むリアルタイム在庫の把握ができます。
また、在庫の引落としのタイミングが、商社向けERPではInvoice発行時で、製造業向けERPではリアルタイムです。

・部品表
製造業向けERPではストラクチャー部品表、商社向けERPではサマリー部品表です。
サマリー部品表では、組立て、工程順序などの表現ができません。

・MPS(Master Production Schedule)とMRP(Material Requiment Schedule)
製造業向けERPに付属する機能で、商社向けERPには通常ありません。すなわち、商社向けERPでは生産指示の概念がありません。
基準日程生産計画(MPS)と資材所要量計画(MRP)を参照してください。

・原価管理
商社向けERPでは製造原価計算が部品表の特性上難しい。

以上のように、商社向けERPでは生産管理の要素に乏しく、事実上生産にまつわる管理は非常に困難です。

◆製造業における管理の選択肢

製造業における管理システムの導入はいくつかの選択肢があります。予算と管理レベルに応じた導入が重要となります。

①製造業向けERP(生産管理+会計)を導入する。
②会計を導入して、あとから生産管理を導入する。
③会計を導入して、生産管理はすべてEXCELで管理する。

言うまでのなく、①が一番よいのですが予算がない場合、②③の選択肢もあります。
②の場合、①に近づくのですが投資金額の総計は結果的に①の方が安くなります。②の場合、会計と連動のためのソフトが必要となります。
③の場合、一番安価でタイではこの状態の企業が多いです。しかし、管理面においてEXCELでは限界があり、また属人化は避けれません。

このように、選択肢により管理レベル違いますので、投資の際十分な検討が必要です。